金沢大学 超然プロジェクト×先魁プロジェクト×自己超克プロジェクト

区分1

革新的デバイス創製を目指した次世代エレクトロニクス研究拠点の形成

プロジェクト代表者 
徳田 規夫
所属組織・役職等 
理工研究域 電子情報通信学系 准教授(リサーチプロフェッサー)
研究分野 
物性物理学 電気電子工学 無機材料化学、エネルギー関連化学
パワーデバイス、量子デバイス、ダイヤモンド、結晶成長、プラズマ
Power Devices, Quantum Devices, Diamond, Crystal Growth, Plasma

■ 概要 ■
経済発展と社会的課題の解決の両立は人類にとって永遠の課題である。経済発展の具体的な問題としてエネルギー需要の増加、社会的な問題として地球温暖化がある。その同時解決策として次世代社会の実現“Society 5.0”が提唱されている。本プロジェクトメンバーは、電子情報通信学系の電気電子コースの教員を核として構成されており、本プロジェクトはSociety 5.0の実現に資する次世代エレクトロニクスの創出を目指した研究拠点の形成を目的とする。

 

■ 背景 ■
現在のエレクトロニクスを支えている半導体材料はシリコン(Si)である。Siデバイスは、アナログ信号の増幅や発振、スイッチングなどに用いられていた真空管を置き換え、電子回路の革新的な小型化、高性能化により情報社会(Society 4.0)の実現に大きく貢献してきた。しかし、更なる高性能化はSiの物性により限界となっている。そのため、より優れた物性を有する半導体材料を用いた次世代エレクトロニクスの創出が期待されている。次世代パワーデバイス材料としては、SiC、GaN、Ga2O3、ダイヤモンドが挙がっており、その中で、理論的に最も高性能(低損失、高耐圧)化が可能なのはダイヤモンドである。そのデバイス性能指数は、Siと比較すると数万倍高く、ダイヤモンドエレクトロニクスの創出は新たな社会への発展のトリガーとして期待される。

 

■ 研究内容 ■
我々は、前回の先魁プロジェクト“革新的省エネルギーデバイスの創製”において、半導体ダイヤモンドウェハの開発を目的としたダイヤモンドエピタキシャル成長技術の開発と超低損失ダイヤモンドパワーデバイスの開発に取り組み、前者のテーマでは世界最速のダイヤモンド成長技術を開発し、後者のテーマでは反転層ダイヤモンドMOSFETを世界で初めて実現した。一方、ダイヤモンドはパワーデバイス応用研究以外にも、量子デバイスに関する研究も昨今盛んに行われている。ダイヤモンド中の窒素-空孔(NV)中心は優れたスピンおよび光学特性を有し、室温動作可能な量子デバイス(量子コンピューティング/シミュレータ、磁気センサ、量子暗号通信素子等)への応用が期待されている。そこで、本プロジェクトでは、前回の先魁プロジェクトで取り組んだテーマを更に深化するとともに量子デバイスの開発を追加する。具体的には、半導体ダイヤモンドウェハ開発として、低コスト・大量生産を可能とする革新的な“大口径化技術”、“高速成長技術”、“スライス技術”、“平坦化技術”に関する研究と、Society5.0を支える革新的デバイスとして、“ダイヤモンドパワーデバイス”、“ダイヤモンド量子デバイス”の創製に取り組み、ダイヤモンドの早期社会実装を目指す。

図1