金沢大学 超然プロジェクト×先魁プロジェクト

区分2

有機元素化学が切り拓く創薬研究

プロジェクト代表者 
大宮 寛久
所属組織・役職等 
医薬保健研究域 薬学系 教授
研究分野 
有機化学 生体分子化学 薬学
有機化学、創薬
Organic Chemistry, Drug Discovery

■ 概要 ■ 
人類にとってかけがえのない存在である「医薬品」の多くは、生体維持に不可欠な炭素(C)、水素(H)、酸素 (O)、窒素(N)、硫黄 (S)、リン(P)の6元素から構成されている。一方で、その数は未だ少ないものの、これら以外の元素を含む特異な医薬品(異種元素含有医薬品)も存在する。そして従来の6元素医薬品では全く歯が立たない疾患に対して、効果を発揮することが知られている。本プロジェクトは、有機合成化学、物理有機化学、天然物化学、環境化学、医薬品化学、薬物動態学に携わる多分野で活躍する若手研究者が集い、異種元素含有医薬品の創成という目標に向けて、メンバーそれぞれの学識と手法を協働・融合することで挑む研究である。有機元素化学が切り拓く創薬研究という新しい学術領域を金沢大学から世界に先駆けて発信する。
 本研究から期待される成果は、創薬科学やケミカルバイオロジーに貢献する「異種元素を含む生体関連分子の創製」とその可能性を世界に向けて発信し、新しい学術基盤を築き上げるものである。同時に、プリビレッジド構造の定まった異種元素含有医薬品の誘導体群を入手容易な化学原料から理想的な手法で創り、社会に供給するための新しい技術を提供する。以上の点から、本研究により、医農薬あるいは生命科学分野に波及効果を及ぼすとともに、最終的には、人間の健康と福祉の増進に貢献することが期待できる。

 

■ 特色 ■ 
本提案の有機元素化学が切り拓く創薬研究は、有機化学を中心とした分野融合を駆動力として、従来とは一線を画する創薬科学の姿を描き出す学術領域の創出を試みるものである。本プロジェクト実現のために、(1)異種元素を含む生体関連分子を入手容易な化学原料から迅速かつ大量に合成供給できる理想的合成プロセスの開発、(2)異種元素を含む生体関連分子の医薬品活性の評価という取り組みを行う。このような異種元素を含む生体関連分子の供給から生細胞系への適用までを視野に入れた野心的なプロジェクトは類を見ない。
 金沢大学超然プロジェクト「超分子による革新的マテリアル開発拠点形成」やWPI「金沢大学 ナノ生命科学研究所」は、高機能性超分子の創製に力点が置かれた有機化学研究である。一方で、高い付加価値をもつ有機低分子化合物の創製に力点が置かれた有機化学に関する本学プロジェクト研究は見られない。つまり、本学が有機化学分野において世界を牽引する立場を担うためには、有機化学を中心とした分野融合による斬新かつ画期的な研究プロジェクトが強く求められる。

 

■ 優位性 ■ 
人類の生存維持と生活水準の向上に必要不可欠な物質である「医薬・農薬や機能性材料」の多くは、有機分子から成り立っている。これら分子を合成し機能を創造する有機化学は、将来にわたって物質文明の先端に位置する基盤科学である。2001年の野依教授、2010年の鈴木教授と根岸教授、2015年の大村教授のノーベル賞受賞は、我が国の有機化学分野の圧倒的優位性を顕著に表すものである。本プロジェクトは、この優位性を活かして有機化学における新たな地平を切り拓く。

 

■ 将来構想 ■ 
本研究は、次世代の金沢大学を担う30代の若手研究者を戦略的に選抜した。さらに、学外連携研究者(国際および国内)を招聘しており、多角的な共同研究および国際的視点からの連携が実現できる。当該分野において10〜20年後と永続的に世界をリードすることのできる体制であり、本学の学術水準を向上・強化し、金沢大学ブランドの醸成に繋がる。金沢大学超然プロジェクト「超分子による革新的マテリアル開発拠点形成」やWPI「金沢大学 ナノ生命科学研究所」の有機化学研究者との連携を深めて研究成果を相互検討し、金沢大学に「有機化学」を中核とした世界的な研究拠点を目指す取り組みを行う。

Ohmiya