金沢大学 超然プロジェクト×先魁プロジェクト×自己超克プロジェクト

区分2

元素が拓く新しい創薬戦略

プロジェクト代表者 
大宮 寛久
所属組織・役職等 
医薬保健研究域 薬学系 教授
研究分野 
化学 - 総合 化学 - 有機 化学 - 医薬品
有機化学、創薬
Organic Chemistry, Drug Discovery

■ 概要 ■
人類の生存維持と生活水準の向上に必要不可欠な物質である「医薬品」は、有機分子から生み出されている。これら有機分子を合成し、機能を創造する有機化学が、将来にわたって先端に位置する基盤科学の一つであろう。そして、分子レベルでの設計・操作・制御を伴う有機化学的手法によって、さまざまな元素の特性を最大限に引き出すことで、 創薬研究における新たなモダリティを生み出し、革新的医薬品の創製に繋げてきた。しかし、近年、低分子医薬品だけではなく、抗体医薬、中分子医薬、核酸医薬、細胞医薬など多様なモダリティの出現によって、創薬研究は益々、複雑化・高度化しており、従来の有機化学的手法では、歯が立たなくなってきている。本研究では、プロジェクト担当者らがこれまで培ってきた有機化学的手法を用いて、従来のスケールを超える「元素機能」を引き出し、新しい創薬戦略を創出する。本研究により、医薬品といった我々の生活に密接に関わる分野に波及効果を及ぼし、人間の健康と福祉の増進に貢献することが期待できる。

 

■ 特色 ■
本提案「元素が拓く新しい創薬戦略」は、先魁プロジェクト2018において見出された「典型元素の特性に基づいた新機能」を新しい創薬戦略の創出という明確な目標に向けて格段に発展・飛躍させる。具体的には、「ホウ素を代表とした典型元素化合物」を「抗がん剤分子プローブ」「生体分子修飾触媒」に展開する。その上で、先魁プロジェクト2018のメンバーをベースに、目標に則した、有機合成化学、光化学、元素化学、放射線科学、化学生物学、細胞生物学、天然物化学、薬物動態学に携わる多分野で活躍する第一線の若手研究者を学内外から選抜・結集した。

 

人類が健康で豊かな日常生活を送るために、あらゆる面で決定的な役割を果たす有機化学に力点を置かれた本学プロジェクト研究は、近年では、プロジェクト担当者らの先魁プロジェクト2018のみであった。「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング」の本学の「有機化学」に関して、2015年は201位〜300位に位置し、2019年は300位以内には該当しなかった。つまり、有機化学分野で世界200位以内を目指し、当該分野を先導する立場を金沢大学が担うためには、有機化学を中心とした分野融合による斬新かつ画期的な研究プロジェクトが継続して実施されることが強く求められる

 

■ 優位性 ■
人類が健康で豊かな日常生活を送るために、有機分子はあらゆる面で決定的な役割を果たしている。有機化学は、日本が世界を先導し、発展するべき領域である。2000年代の当該領域の3件のノーベル賞受賞は、我が国の有機化学分野の圧倒的優位性を顕著に表している。本プロジェクトは、この優位性を活かして有機化学における新たな地平を切り拓く。

 

■ 将来構想 ■
本研究は、金沢大学先魁プロジェクトの枠組みを活かし、次世代の金沢大学を担う 若手研究者(平均年齢38歳、40歳未満は5名)に拘って選抜・結集したメンバー体制である。当該分野において10〜20年後と永続的に世界をリードすることのできる体制であり、金沢大学の学術水準を向上・強化し、金沢大学ブランドの醸成に繋げていく。WPI「金沢大学ナノ生命科学研究所」の研究者との連携を深めて研究成果を相互検討し、金沢大学に「有機化学」を中核とした世界的な研究拠点を目指す取り組みを行う。

(挿入図)chozen-ohmiya