金沢大学 超然プロジェクト×先魁プロジェクト×自己超克プロジェクト

水圏環境からの白金族元素回収法の確立

プロジェクト代表者 
眞塩 麻彩実
所属・役職 
理工研究域物質化学系・助教
研究分野 
Atmospheric and hydrospheric sciences(大気水圏科学)
白金族元素、キレート樹脂、金属再利用、海底熱水
Platinum group elements, Chelate resin, Metal recovery, Submarine hydrothermal

  白金族元素(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)は工業的に幅広く利用されており、近年需要が高まっている。金や銀と共に貴金属元素とも呼ばれ、希少価値が高く市場価格も高額である。主な産出国は南アフリカとロシアであり、日本はほぼ全てを輸入で賄っているため、その供給は政治情勢に左右されやすい。そのため新たな資源場所の開発や使用済み金属の再利用化が求められている。一方、白金族元素は工業的に幅広く用いられていることから、工場排水や都市域の水圏環境中での白金族元素濃度が比較的高いことが報告されており、水圏環境への影響が懸念されている。そのため、白金族元素の人為的影響による水圏環境への影響を評価した上で、水圏環境から効率的に回収することが求められている。しかし水圏環境中の濃度は元来低く、コストに見合った金属量を回収できないことから、実用的な技術は確立されていない。

  そこで本プロジェクトでは、白金族元素を選択的に捕集できる樹脂を新たに開発し、水圏環境からの金属回収方法を確立することを目的とした。天然に豊富に存在する安価なバイオマス材料であるセルロースに、ジチオカルバメート基(DTC)のようなキレート官能基を修飾した樹脂を開発し、工業排水や都市域の水圏環境に含まれる白金族元素を固体金属として低コストで回収する方法を確立する。水圏環境改善だけでなく、新たな貴金属資源確保を目指す。また、確立した方法を白金族元素が比較的高濃度で含まれると考えられている海底熱水にも適用し、海底資源量を評価するとともに海底熱水からの貴金属確保も可能か検討する。

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