金沢大学 超然プロジェクト×先魁プロジェクト

栄養が関連する”疾病”を克服する拠点の形成

プロジェクト代表者 
金子 周一
所属・役職 
 医薬保健研究域 医学系 教授
研究分野 
Gastroenterology & Hepatology(消化器病学、肝臓学)
肝臓,糖尿病,栄養,代謝,生活習慣病
Liver, Diabetes, Nutrition, Metabolism, Life-style diseases

プロジェクトのサイト

 

ヒトは長い飢餓の時代に適応して,栄養を効率よく利用する進化を遂げてきました。しかし,飽食の時代となり,ヒトは過剰の栄養を適切に処理することができずに,過栄養によって引き起こされる糖尿病,脂質異常症,高血圧,がんなどの”栄養が関連する疾病”に苦しむことになりました。この現象は高齢化によってさらに加速し,我が国をはじめとする多くの国で深刻化しており,21世紀最大の課題のひとつであると言えます。
我々の研究チームは,これらの疾病の発症に重要な役割を果たす肝臓と,過剰な栄養がもたらす臓器障害との関係についての研究を行い,新たな予防・診断・治療の先端医療開発の研究を行います。

肝臓は,“栄養が関連する疾病”に影響する中心的存在
世界中の多くの研究者は,内蔵脂肪が“栄養が関連する疾病”に影響を与える中心であると考えていますが,肝臓は栄養代謝を担う臓器として発生したことから,実は肝臓が中心的な役割を果たしているのではないかと我々は考えています。我々の研究グループは,世界に先駆けて,“栄養が関連する疾病”における肝臓の重要性を示してきました。そして,この概念は最近になって世界的に認知されつつあります。

肝臓を研究することが,様々な疾患への対策につながる
本研究プロジェクトは,次のような5つの研究要素で構成されます。
1.肝臓の代謝研究
2.脳による肝臓の制御研究
3.臓器間の代謝制御研究
4.糖尿病,脂質異常,高血圧,がんとの関連研究
5.臓器障害の研究

1.肝臓の代謝研究
肝臓で生成される物質の中には,疾病を引き起こす有害な機能を持つ代謝産物も存在します。我々は,その代謝産物のひとつである肝臓が放出するホルモンをヘパトカインと名付けました。さらに,脂肪肝から放出されるヘパトカインであるセレノプロテインPは糖尿病を悪化させることを,世界で初めて示しました。また,脂肪代謝により産生された脂肪酸が引き起こす脂肪毒性と肝臓の障害との関係についても研究しています。これらのように,肝臓における代謝産物やその制御,疾病との関係について研究を進めています。
2.脳による肝臓の制御研究
我々は,肝臓が脳による制御を受けていることを世界に先駆けて明らかにしました。脳は,血糖コントロールを行うインスリンやエネルギー代謝に関連するとされる神経伝達物質ヒスタミンなどを感知し,神経系を介して,肝臓の免疫細胞の一種に影響を与えます。そして,肝臓の免疫細胞から分泌されたサイトカインという特定のタンパク質が,肝臓機能を制御していることを明らかにしました。このような,脳による肝臓の制御のメカニズムを解明します。
3.臓器間の代謝制御研究
上述のように,肝臓が放出するヘパトカインや糖・脂質などの代謝産物が他の臓器に影響を与えていることが明らかになってきています。そこで,脂肪や筋肉,膵臓など,様々な組織・臓器と肝臓との関連を明らかにします。
4.糖尿病,脂質異常症,高血圧,がんとの関連研究
肝臓で産生された代謝産物やヘパトカインは,糖尿病,脂質異常症,高血圧,がんの発症・進展とも密接に関連しています。これらの病態を解析するとともに、肝臓との関連を明らかにし、疾病の予防や診断法の開発を行います。さらに,食生活と疾病予防の関係についても考えます。
5.臓器障害の研究
糖尿病は,糖尿病性腎症,認知症など,肝臓以外の臓器の障害も引き起こします。各障害に関する診断法および治療法の開発や,疫学研究などを進めます。

chozen_Kaneko