金沢大学 超然プロジェクト×先魁プロジェクト

がん進展機構の本態解明を目指す研究拠点強化プロジェクト

プロジェクト代表者 
大島 正伸
所属・役職 
 がん進展制御研究所 教授
研究分野 
Oncology(腫瘍学), Medicine, Research & Experimental(医学、研究、実験)
がん転移,薬剤耐性,微小環境,幹細胞,拠点強化
Cancer metastasis, Drug resistance, Microenvironment, Stem cell, Enhancement of the function as a research core

日本人の死亡原因の第一位は「がん」であり、現在は3人に1人ががんで死亡しています。これら、がんによる死亡原因の多くは、悪性化および再発による「がん進展」が原因とされています。すなわち、がん進展機構を解明し、転移や再発による「がん進展」を制御することにより、がんによる死亡率の低下を実現することが可能になります。本研究では、先進がんモデル開発を行うと共に、「がん幹細胞」、「がん微小環境」、「分子標的探索」の3領域の基盤研究を強化、発展させ、がん進展機構の本態解明に迫ります。

がん進展研究に重要な先進がんモデル開発
転移、再発がんが発生する過程では、がん細胞が、がん幹細胞性を獲得し、周囲にがん微小環境が形成されることが、がんの進展誘導に重要であることが明らかとなっています。これらのメカニズムを解明することで、新規抗がん剤の分子標的発見につながることが期待されています。
一方、近年のゲノム解析の目覚ましい発展により、がん細胞のゲノム解析が世界的に進められ、多くのがん種において発がんの原因となるドライバー遺伝子変異が明らかにされてきました。しかし、こうしたゲノム科学の結果だけでは、がんの生物学的側面を解明することは出来ません。すなわち、発がんの分子機構を、個体内の現象として生物学的に理解する必要があるのです。そのために、最新のゲノム情報に基づいた遺伝子改変マウスモデル(genetically engineered mouse model: GEMモデル)の開発が重要となります。さらに、異種の細胞に対する拒絶反応を全く起こさない超免疫不全マウスにヒトがん組織を移植した(patient-derived xenograft:PDXモデル)は、ヒトがん組織を忠実に再現することが知られており、個々の患者のがん組織を実験動物レベルで再現するモデルとして、世界で開発が進められています。このような先進がんモデルは、今後、がん研究に無くてはならないものになると考えられます。

先進がんモデルの開発により世界をリードするがん研究を展開する
本研究では、先進がんモデル共同開発センターを設置し、GEMモデルとPDXモデルの開発と基礎研究プログラム(がん幹細胞、がん微小環境研究、分子標的探索)が一体となった研究を進めます。先進がんモデルの開発では、新規に設置する「先進がんモデル共同研究センター」が中心となり、基礎研究プログラムで特定した遺伝子を改変した発がんモデルとしてのGEMモデルを開発するとともに、対象がん(消化器がん、肺がん、乳がん、白血病)のPDXモデルを同時に開発します。
一方、基礎研究プログラムでは、がん幹細胞研究プログラム、がん微小環境研究プログラム、がん分子標的探索プログラムの3つを展開します。これら3つの代表する研究者らによる先進的な研究で、新たながん進展のしくみを明らかにします。さらに、開発した新規モデルを用いて、遺伝子変異と個体レベルでのがんの発生および悪性化進展を明らかにし、さらには遺伝子の変異と抗がん薬感受性との関係を明らかすることで、がん進展機構の本態解明を目指します。以上のように、GEMモデルおよびPDXを主軸としたがんモデル研究を推進し、がん幹細胞、微小環境、分子標的の研究を有機的に連携させ、がん進展機構の本態解明に迫ります。

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